偽薬による実験を行うのは何故?

人は誰もが薄毛や抜け毛に悩まされるのを苦痛に感じるものです。これらの症状は様々なものが複雑に絡まり合って起こると言われています。私たちに出来る事はその原因を予測してひとつずつ取り除いていくということに尽きるでしょう。中でも最近、特に注目を集めている原因が男性型脱毛症です。略してAGAとも呼ばれるこの病気は、男性ホルモンが過剰な働きをすることで頭髪の成長を著しく阻害する物質を作り出してしまうというもの。治療にはフィナステリドという飲み薬を用いて、男性ホルモンが過剰に働くのを抑制していきます。

もともとこのフィナステリドは前立腺肥大症の特効薬を開発する中で偶然生み出されたと言われています。男性ホルモンと密接な関わりを持つこの病気の治験において、薬を投薬した患者に発毛作用が見られたのです。その後、フィナステリドが持つこの発毛効果に注目したうえで数々の治験が行われ、その結果として現在の飲み薬が生まれたのです。

この治験においては、フィナステリドそのものの継続的な服用効果に注目するのはもちろん、他にも偽薬を用いた継続的な観察も欠かせません。というのも、毛髪というものはストレスなどの精神的な作用も大きくみられ、治験においても実際に薬の効果だったのかどうかを見極めるのは大変困難だからです。そのために複数用意した治験者の中には決められた期間中ずっと偽薬を飲み続ける人もきちんと用意されており、薬の効果が何も精神的な作用によるものではなく明らかに薬の効能によるものであることを医学的に見極める鍵となっているのです。

フィナステリドに関しても全く同じで、こうした細部にいたるまで配慮を行き届かせた治験を実施することによって、この薬の発毛への大きな効果について厚生労働省から認可を得ることができたのです。